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【毎週日曜更新】本の要約・考察第51回~『Zero to One』~


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おはようございます。Shotaです。

今回の記事では、ピーター・ティールの『Zero to One』を要約・解説していきます。

はじめに

本書の著者であるピーター・ティールは、あの有名な決済サービス「PayPal」の創業者である。本書は彼がスタンフォード大学の学生に向けて行った「起業論」の講義内容をまとめたものです。

彼は本書を通して、競争ではなく独占の重要性を強調しています。

未来を創る

ピーター・ティールは、自社の採用面接で必ず次のような質問をします。

「賛成する人がほとんどいない、大切な真実はなんだろう?」

これは結構ストレートな質問なので、少し考えたら答えられそうです。しかし、実際にそうできるのはなかなか難しいです。学校では基本的に異論のない知識しか教わらないからです。これに関する正しい答えは以下のとおりです。

「世の中のほとんどの人はXを信じているが、現実はXとは真逆だ」

話は変わりますが、この逆説的な質問がどう未来に影響するのでしょうか?突き詰めて考えれば、未来とはまだ訪れていないすべての瞬間です。未来がどうして特別で大切なのかというと、それが「まだ訪れていない」からではなく、その時に「世界が今とは違う姿になっている」からです。

進歩の未来

未来を考える際、私たちは未来が今よりも進歩していることを願います。その進歩は次の二つの形のどちらかに当てはまります。


水平的進歩:成功例をコピーすること。前例があるので想像しやすい。
垂直的進歩:新しい何かを行うこと。つまりゼロから1を生み出すこと。それまで誰もやったことがない何かが求められる垂直的進歩は、想像するのが難しい。


マクロレベルの水平的進歩を一言でいうと、「グローバリゼーション」になります。ある地域で成功したことを他の地域に広げることです。一方で、ゼロから1を生み出す垂直的進歩を一言でいうと、「テクノロジー」になります。両者は異なる進歩の形であり、両方が同時に起きることもあれば、片方だけ進むことも、どちらも起きないこともあります。たとえば、1971年以来、グローバリゼーションは急速に進んでいますが、テクノロジーの進歩はほぼほぼIT分野だけに限定されています。

このところのグローバリゼーションの進展から考察すると、今後数十年間で世界がより縮小し同質化していくと想像してもおかしくありません。しかし、著者はこれを否定します。先程の質問

「世の中のほとんどの人はXを信じているが、現実はXとは真逆だ」

こちらに対する著者の回答は次のとおりです。

「ほとんどの人はグローバリゼーションが世界の未来を左右すると思っているけど、実はテクノロジーのほうがはるかに重要だ」

新しいテクノロジーが時間の経過とともに自然に生まれることはありません。私たちの祖先は固定的なゼロサム社会に生きていました。そこでの成功とは、他者から何かを奪うことです。そこでは富の源泉はめったに生み出されず、普通の人が極限の生活から抜け出せるほどの富を蓄積できませんでした。

とは言っても、両親と祖父母の世代は例外でした。1960年代の後半にまだ、このまま進歩が続くはずだと考えられていました。スマートフォンで生活が一変しても、実は周囲の環境は驚くほど昔と同じです。テクノロジーの進歩が自動的にやってくると考えたことそのものが間違いです。

21世紀をより平和な繁栄の時代にしてくれる新たなテクノロジーを思い描いて、それを創り出すことが今の私たちに与えられた挑戦です。

スタートアップ思考

新しいテクノロジーを生み出すのは、だいたいベンチャー企業(スタートアップ)です。その理由は単純で、大きな組織の中では新しいものは開発しづらいし、独りでは更に難しいからです。

スタートアップとは、あなたが世界を変えられると、あなた自身が説得できた人の集まりです。新しい会社の一番の強みは新しい考え方です。少人数なら機敏に動けることはもちろん、考えるスペースが与えられることが大きなアドバンテージになります。

幸福な企業はそれぞれに違う

例の逆説的な質問をビジネスに当てはめて考えてみるとどうでしょうか?

「誰も築いていない、価値ある企業はどんなものだろう?」

このような質問になるはずです。大きな価値を生み出すだけなら、企業自体が価値ある存在ではなくても可能だからです。企業は価値を想像するだけではなく、想像した価値の一部を社内にとどめておく必要があります。

つまり、事業規模が巨大でもダメな企業は存在します。本書では、その具体例を航空会社とGoogleで例えて説明しています。航空会社はお互いがライバルですが、Googleにはそのような相手がいません。経済学者はその違いを説明するために二つの言葉を使います。


完全競争:需要と供給が一致し、均衡状態に達した市場。ここでは企業間の差別化は存在せず、売り手はまったく同一の製品を販売している。どの企業も市場へへの影響力はなく、市場が価値を決定する。完全競争市場では長期的に利益を出す企業は存在しない。
独占:市場を支配しているので自由に価格を設定できる。競争がないので、独占企業は生産量と価格を調整して利益の最大化を図る。


資本主義は資本の蓄積を前提に成り立っているのに、完全競争下ではすべての収益が消滅します。永続的な価値を提供するためには、差別化のないコモディティビジネスを行ってはいけません。

まことしやかな嘘

現実には企業の間では二極化が進んでいます。完全競争と独占の間には天と地ほどの差があって、ほとんどの企業は私たちが思うよりもどちらか一方に偏っています。独占企業も競争企業も、両方とも自分たちに都合の良いように市場規模を語る傾向が強いからです。

両者にとっても、真実を曲げるほうが都合がいいからです。

独占企業の嘘

独占企業は自分を守るために嘘を付きます。何が何でも独占的な利益を守るために、どんな手を使ってでも独占を隠そうとします。その常套手段として、存在しないライバルの力を誇張することが挙げられます。

Googleのような独占企業の場合、テクノロジー企業あるいは広告会社の一社として自分を位置づければ、余計な関心を引かずにすんでいます。

非独占企業の嘘

非独占企業はこれとは反対の嘘を付きます。彼らは自分の市場を極端に狭く限定し、まるで自分たちが市場を支配しているかのように考えたがります。様々な小さな市場が交差する場所を自分たちの市場と位置づけることで、自社の独自性を誇張します。

追い詰められた人たち

競争的なビジネスには利益が出ないことよりも重大な問題があります。それは、人々を追い詰めて死に追いやるがあることです。

Googleのような独占企業は違います。ライバルを気にする必要がないので、社員やプロダクトや広い社会への影響を考える余裕があります。生き残りを賭けた厳しい戦いからの脱却を可能にするのは唯一つ、独占的利益です。

独占的資本主義

独占企業はイノベーションを起こし続けることができます。彼らには長期的計画を立てる余裕と、競争に追われる企業には想像もできないほど野心的な研究開発を支える資金があるからです。

しかし、どうして経済学者は競争を理想的な状態だと主張するのでしょうか?それは、モデル化が簡単だからです。それはビジネスにとって最善ではありません。

新しい何かが創造される際には、競争とは程遠いです。経済理論が当てはまらない現実世界では、他社のできないことをどれだけできるかで、成功の度合いが決まります。つまり、独占は異変でも例外でもありません。独占は、すべての成功企業の条件そのものなのです。

幸福な企業はそれぞれは独自の問題を解決することで、独占を勝ち取っています。不幸な企業はみな同じで、彼らは競争から抜け出せずにいます

まとめ

今回の記事では、ピーター・ティールの『Zero to One』を要約・解説しました。まとめると、本書は起業が成功する際に必要な条件が独占だということを強調しております。これは私が起業するにあたって衝撃的な内容でした。

本書は起業だけではなく、これからの人生についてより一層考えるときに非常に参考になりました。

本書で強調されている競争のデメリットは、ビジネスに限った話ではないと思います。私たちは色んな場面(例えば、学歴あるいは年収)で様々な人と比較されますが、これらの競争には終わりがありません。上には上があるので、いつまで経っても満たされないのです。

私は本書の内容を踏まえて、次のようなことを実行に起こしました。

  • 競争から外れる→就職活動や地位財の競争から逃げる
  • 自分で市場を作って独占する→自分でWeb開発の個人事業を立てる(そもそも個人事業は競争がないから)

長くなりましたが、今回の記事はこれで以上です。

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