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本の要約・考察第34回 ~『良い戦略・悪い戦略』~【毎週日曜更新】


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おはようございます。Shotaです。今回は日曜日なので、本の要約記事を書いていきます。今回取り上げる書籍は『良い戦略、悪い戦略』です。本書では、「良い」と言われている戦略と「悪い」と言われている戦略の違いが明確に記し、その上で良い戦略を考える上で必要な思考法まで記載されている画期的な書籍です。

本書では良い戦略、悪い戦略の特徴が両方とも記載されていますが、本書では悪い戦略の特徴を中心に徹底解説していきます。

それでは早速、本題に入りましょう。

「悪い戦略」とは

まず最初に、本書で取り上げられている悪い戦略の特徴を徹底解説していきます。

まず前提として、悪い戦略は戦略が何も立てられていないという意味ではなく、失敗した戦略という意味でもありません。

悪い戦略は目標が多すぎる一方で、行動に結びつく方針が少なすぎるか、あるいはまったくないのです。ほとんどの経営者は、目標を掲げることだけが自分の仕事だと思いこんでいるようで、矛盾している目標や同化すると実行不可能な目標を発表します。そのような戦略では大袈裟な言葉だけが先行して中身の無さを隠しているだけです。

悪い戦略の特徴は大きく、以下の4つに分けられます。

空疎である

重大な問題に取り組まない

目標を戦略と取り違えている

間違った戦略目標を掲げている

それぞれ順番に解説していきます。

空疎である

まず、悪い戦略の1つ目の特徴は「空疎である」ことです。

空疎な戦略とは、わかりきっていることを専門用語や業界用語を多用して作った戦略のことを指します。そのような戦略は、レベルが高い分析の上に成立したような雰囲気がありますが、実際はそうではありません。

例えば、とある銀行の戦略の一つに「顧客中心の仲介サービス」というものがあります。この言葉はなかなか響きのいいものですが、言い換えればお金を預かって貸し出すという意味で銀行の本業以外の何物でもありません。もしかすれば、よりよいサービスを提供して顧客拡大を目指すという意味もあるかもしれません。ところが、それはどこの銀行でもやっていることでこれだけで差別化を図れません。言ってしまえば、「顧客中心の仲介サービス」は全く意味のない言葉なのです。

本物の専門知識や知見の特徴は、複雑なことをわかりやすく説明することにあります。これに対して悪い戦略は、分かりきっていることをわざと複雑に見せかけているだけです。

重要な問題に取り組まない

次に、悪い戦略の2つ目の特徴は「重要な問題に取り組まない」ことです。

戦略は、本来困難な課題を克服し障害物を乗り越えていくものです。その課題に立ち向かわないなら、戦略の意味をなさないし、それを評価できません。重要な問題を無視し、分析しようともしないなら戦略を立てることはできません。重要な問題と無関係な目標や予算は戦略とは言えません。

良い戦略にするためには、自分の課題を深く見極めて、現実の世界で遭遇する困難を的確に予想し、困難を克服することだけにリソースと行動を集中する方針を立てるのが何より重要です。

目標を戦略と取り違えている

次に、悪い戦略の3つ目の特徴は「目標を戦略と取り違えている」ことです。

大半の企業では、基本的に業績予想に基づいて3年あるいは5年単位の継続的な予算を組むことを戦略を立てることだと称しているからです。これでは、予算編成とセットで戦略が出来上がるという誤解を生じかねません。

もちろん、計画を立てるのは悪いことではありません。経営をするには計画が必須の作業です。例えば、小売店のチェーンだったら、土地購入、建設、店舗スタッフ教育などの計画が必要です。

毎年繰り返されているこのようなプランニングプロセスをどうしても「戦略プランニング」と呼ぶならそれでもいいですが、これは戦略ではありません。なぜなら、より上を目指す道筋をつけることができないからです。

より上を目指すためには、機会を見極めた上で前進を阻む障害物を見抜き、それらを乗り越える方法を検討する必要があります。戦略を作るのは時と場合に応じて必要になるものであって、毎年機会的に行う性格のものではありません。

間違った戦略目標を掲げている

次に、悪い戦略の4つ目の特徴は「間違った戦略目標を掲げている」ことです。

良い戦略は、一つか二つの決定的な目標にエネルギーとリソースを集中的に投下し、それを達成することで次々と新しい展開へとつなげていきます。これに対し、悪い戦略では多種多様なことを詰め込めすぎてごった煮状態の目標が掲げられています。

長々しい「やることリスト」は単にやるべきことを列挙しただけで戦略目標とは程遠いです。悪い戦略目標にはもう一つ特徴があります。それは、現実的ではない目標です。良い戦略は重要な課題を見極めて、その課題にどう取り組むか行動の道筋をある程度つけます。そのため、良い戦略が設定する目標は手持ちのリソースや能力で取り組んで成功率が高いです。

仮に課題を明確に意識し、それに取り組む意欲があったとしても戦略目標が実行不可能だったり非現実的だったりしたら前進は望めないでしょう。良い戦略は、困難な課題を乗り越える現実的な方法を示します。戦略目標がそもそもの課題と同じぐらい歯の立たないものだったら、戦略を立てる意味はありません。

戦略的思考のテクニック

ある分野で戦略を立てるためには、その分野について十分な知識を持っている必要があります。これに関しては、現場に言って実際に経験することにまさる方法はないでしょう。経験を積むと、「この状況ではこれがうまくいくな」とか「この状況ではうまく行かないな」という判断ができるようになります。

とは言っても、経験と知識さえあれば良い戦略が立てられるというわけではありません。知識が豊富であっても、戦略が不得意な経営者はたくさんいます。目先のことやジャストアイデアに惑わさないように自分の考えを導いていくためには、以下の2つのテクニックを使ってみましょう。

①問題点を正確に見極める

多くの人が戦略とは行動を起こすことだと考えていますが、その前に困難な状況を見極める作業があることを忘れてはいけません。問題や障害物を明確にすることで、できる戦略を検討できるようになります。

まずは、戦略を立てるにあたって検討しなければならない問題点を明確にすることから始めていきましょう。

②最初の案を壊す

最初の思いつきで戦略を立てる癖を治す方法は簡単です。それは、複数の戦略を検討することです。別の戦略を検討できるようにするためには、再度じっくり状況を見て事実を確認し、診断することから始める必要があります。よりよいアイデアを出すためには、最初のアイデアの欠点を明確にし、矛盾を見つけ出して破壊するという作業がいります。

とは言っても、自分のアイデアを見つけ出すのは簡単ではありません。そこで、本書では自分の脳裏に仮想で「自分が尊敬する人」を集めた脳内会議、いわゆる「バーチャル賢人会議」という方法が提案されています。

これを簡単に言えば、自分のアイデアを批判してもらいたいときに自分が尊敬する人の価値観や名言を思い出して考えることを指します。よりわかりやすく言えば、尊敬する人を思い浮かべて「あの人だったらこう動くだろう」と考えることです。

このやり方がうまくいきやすい理由は、人間に内蔵されているソフトウェアは、理論やツールよりも個性や価値観を持った生き方の人間をよりよく認識し記憶するように設計されているからです。

まとめ:まずはとにかく色んなことを経験する

今回の記事では、『良い戦略、悪い戦略』を要約・考察していきました。

最後に個人的な補足を入れて締めくくりたいと思います。それは、「まずはとにかく色んなことを経験する」ことです。

本書では経験と知識さえあれば良い戦略が立てられるというわけではないことが強調されていましたが、良い戦略を立てるためにはまずは経験と知識がないと難しいと考えています。良い戦略を立てられない場合は、まずは色んなことを経験しましょう。そうすることで得られた経験や知識は、あなたが良い戦略を立てる上で大いに役立つはずです。

今回の記事はこれで終了です。

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