Re:ゼロから始める文系プログラマ

未経験がプログラミングを通して人生を変える

【毎週日曜更新】本の要約・考察第20回~『「超」入門 失敗の本質』~


スポンサードリンク
 

f:id:ShotaNukumizu_1000:20210701074000p:plain

おはようございます。Shotaです。

本日は日曜日(それに加えて終戦記念日)なので、本の要約・考察記事を書いていきます。今日紹介する本は『失敗の本質』です。

『失敗の本質』は、日本が今から70年以上前に経験した太平洋戦争のときの、日本軍の組織論を研究した本です。日本の戦争の敗因を作戦や組織による「戦い方」の視点から徹底解説されています。

しかし、原典である『失敗の本質』は難解であり理解できた人は少ないかもしれません。

そこで、今日の記事ではポイントをダイジェスト形式でまとめ、『失敗の本質』を仕事や実生活で役立てられるよう本書のポイントをまとめてみました。

本書では、太平洋戦争における真の敗因は物量や技術力の差ではなく、日本的な思考法や日本人特有の組織論、リーダーシップにあると強調されています。本書では、日本軍の敗因を単に列挙するだけではなく、貴重な教訓から「次の失敗」を上手に避ける具体策を引き出すことを目標にしています。

そこで、今日の記事ではポイントを3つに絞って徹底解説していきます。

  • 無駄な勝利を積み上げた
  • 達人技に依存していた
  • 都合の悪い情報を無視していた


前置きが長くなってしまいましたが、さっそく本題に入っていきましょう。



日本軍の敗因その1――無駄な勝利を積み上げた

f:id:ShotaNukumizu_1000:20210815062439p:plain

まず最初に、日本軍の敗因その1について解説していきます。

「無駄な勝利を積み上げた」というのは、言い換えれば「長期的な戦略を立てられなかった」ということになります。本書では日本軍の迷走から見えることの一つに、「目標達成につながらない勝利」が指摘されています。

日本軍は真珠湾攻撃を含めて、開戦初期には太平洋の南洋諸島25島を占領しています。しかし、アメリカ軍が上陸占拠したのはたったの8島で、残りの島は放置されました。

他にも日本軍は東南アジア等やシンガポールに進軍する日本は、その進軍を実現するために「勝利」を積み上げていましたが、それらの勝利はすべて無駄になりました。

確かに、日本軍は真珠湾攻撃の奇襲やミッドウェー海戦の戦力総数では「優勢」だったのかもしれません。しかし、それらは「目標達成につながらない勝利」でした。当時劣勢だったアメリカ軍は目標達成につながる勝利だけをつかみ取り、戦局を逆転させていきました。

いかに戦術が優秀であっても、最終目標を達成することに関係していなければ意味がありません。戦略のミスは戦術でカバーできません。目標達成につながらない勝利のために戦術をどれほど洗練させても、最終的な目標を達成できません。


日本軍の敗因その2――達人技に依存していた

f:id:ShotaNukumizu_1000:20210815062705p:plain

日本軍の敗因は、兵隊の養成という観点でも考えられます。

日本軍は驚異的な技能を持つ達人の養成に注力した一方で、アメリカ軍は「システム思考」的な方向で戦闘の作戦を考えていました。言い換えれば、日本軍は操縦技術が高いパイロットの強化に注力していた一方で、アメリカ軍は操縦技術が低くても勝って生き残れる飛行機の開発に注力していたということになります。

日本軍は戦闘を達人を生み出すことで解決しようとしていた一方で、アメリカ軍は仕組みで戦闘を解決していたのです。本書ではここに日本企業の弱点があることが強調されています。それは、新しい概念を創造してそれを活用する方法を生み出せないことです。

それに加えて、本書ではビル・ゲイツスティーブ・ジョブスのような経営者があまり日本で生まれない理由の一つに、ゲームのルールそのものを変えるような破壊的な発想ではなく、技術の習熟と改善をベースとする思考法(本書ではこれを「日本的思考」と表現)にあると書かれています。

達人技や個々の訓練、改善に依存しないようにするためには、ゲームのルールそのものを変えるような劇的な変化を起こす必要があります。


日本軍の敗因その3――都合の悪い情報を無視していた

f:id:ShotaNukumizu_1000:20210815070515p:plain

本書では、日本軍の敗因の一つに、都合の悪い情報を無視していたことが強調されています。当時の日本軍は「多くの警告的な情報」を完全に無視し、「自分たちは絶対に大丈夫だ」という楽観的な幻想を持っていました。配線が色濃くなるにつれて、さらにこのような傾向は増していきます。

本書では間違いを認める、プロジェクトの正しい方向転換を妨げる危険な心理的要因として4つの要素が導かれています。しかし、全部を説明すると長くなってしまうので個人的に一番重要なポイントを紹介します。


「サンク・コスト」――多くの労力やコストを費やしたプロジェクトほど中止させるのが難しい

ここであなたに質問です。

自分が多大な犠牲を払ったプロジェクトがじつは不適切であるとわかった時、それを潔く受け入れることができますか?

いざ当事者となった場合、あなたは英断を下すことができるのでしょうか?

心理学用語で、多くの労力とコストを費やした計画を中断するのが困難である人間の心理状態を表現した「サンク・コスト」があります。これを簡単に言えば、投下してしまったがすでに回収が難しいとわかったコストのことです。

不都合な情報を遮断しても、問題そのものが消えるわけではないことは非常に当たり前です。しかし、ある状況下では私たちに「事実を無視する、あるいはもみ消す強い誘惑」を生み出していきます。

ところが、集団あるいは個人がこのような心理バイアスから抜け出せないで。すでに破綻しているプロジェクトを停止させずに突き進めば悲惨な結果を出してしまうことは日本軍の作戦結果も証明している残酷な事実です。

サンク・コストのような心理バイアスから抜け出し、良い決断をすることが会社の組織や集団全体を救うことに繋がります。


まとめ:月1回数分でも構わないから、「どんな人生にしたいか」について熟考する

今日の記事のまとめに入ります。

今日の記事ではベストセラーである『失敗の本質』について解説しました。しかし、原典は理解するのが非常に難しいので入門書である『「超」入門 失敗の本質』を中心に解説しました。

今日の記事で取り上げたポイントは次の3つです。

  • 無駄な勝利を積み上げた
  • 達人技に依存していた
  • 都合の悪い情報を無視していた


最後に補足を入れます。それは、

月1回数分でも構わないから、「どんな人生にしたいか」について熟考すること

です。

具体的に言えば、自分が今やっていることが自分の人生をより良くしていくために必要なことであるかどうかを検討していくことになります。私たちは日々様々な仕事に追われていて、「自分の人生をどうしたいか」という目標あるいは方針を見失ってしまうことがよくあります。これはごく自然なことです。

そこで、月1回数分でも構わないので「どんな人生にしたいか」ということを考える時間を作りましょう。そうすることで、「自分が今やっていることは必要か?」「無駄な勝利を積み上げていないか?」と自分の今の行動を客観的に見ることができるようになると思います。

このことを実践できれば、本書で紹介されていた日本軍の致命的なミスと同じようなミスをおかさずに済むかもしれません。

今日の記事はこれで終了です。

【参考図書】