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本の要約・考察第38回 ~『最高の戦略教科書 孫子』~【毎週日曜更新】


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引用:https://amzn.to/3seS8j6

おはようございます。Shotaです。

今日は日曜日なので、本の要約と考察記事を書いていきます。今回紹介する書籍は『最高の戦略教科書 孫子の「兵法」』です。

今からおよそ2500年前に書かれたにもかかわらず、現代でも莫大な人気を誇る古典があります。それが兵法書の『孫子』です。この兵法書ビル・ゲイツ孫正義などの著名な経営者にも愛読されています。

本書の著者である守屋淳さんは、『孫子』を始めとする中国古典の勉強会の中で講師を務めています。

彼が「古典を活用するためには、抽象度を挙げて考えることが重要だ」と主張したときに、

「学校や会社では具体的に考えろ、なんて言われ続けてきたので抽象的に考えろなんてはじめて言われました。」

このように答える人がいました。

たしかに、学校や会社では与えられた課題をこなすためには、具体性が何よりも重要な武器になるでしょう。たとえば、営業で成績を上げたいときは「100倍売れるセールス法」とか「営業成績を倍にするコツ」のような具体的なマニュアル本で読んで実践するほうが成果への近道になるはずです。

しかし、今の時代では次のように言われているもの事実です。

「先が見えにくい時代」

「グローバル競争が広がり、加速する時代」

言い換えれば、未来に対する具体的なマニュアルを極めて持ちにくい状態になりつつあります。これは、手元に「非常に雑な地図」だけを持って険しいジャングルを抜けようとするような状況に近いでしょう。

このような状況で必要になるのは、

  • 「あっちに行けば何とかなる」という方向性の感覚
  • 「水がないと人は死んでしまうので、水の確保を最優先とする」のような競争状態での原理原則

この2つにほかなりません。

「今までこの道で大した問題はなかったから、今後もそうしよう」というように、過去の成功体験を安易に未来に当てはめるのは最も危険な行為になります。状況が刻一刻と変化している以上、一つ前の法則が当てはまる保証は限らないのです。

では、どうすれば方向性や競争状態での原理原則が身につくのでしょうか?そのうってつけの教材が『孫子』なのです。

孫子』は、日本で言えば縄文時代弥生時代の移行期に書かれた書物です。当然ですが、現代は時代も違うし、時代背景も異なります。今の生活やビジネスの現場に応用しようとしても、前提条件が全く違います。

言い換えれば、『孫子』を自分にとっての知恵として吸収するためには

  • 「簡単に言い換えたらどうなるのか」
  • 「より一般的に表現するとどうなるのか」

このようにして抽象度を挙げて考える必要があります。さらに望ましいことは、

  • 「『孫子』にはこんな戦略があるけど、今では通用しないのでは?」
  • 「自分の今までの経験と比べると、この指摘は逆になるのでは?」

と、その抽象的な内容にツッコミを入れて自分なりの考えを生み出すことです。これによって、『孫子』で書かれている内容が自分の学びとしてしっかり身につくのです。

そこで、今回の記事では現代社会で特に必要となる考え方を次の2つに絞って解説してみました。

  • 敵と味方の比べ方
  • 情報を制するものは戦いを制す

前置きが長くなりましたが、それではさっそく本題に入りましょう。



敵と味方の比べ方

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自分とライバルの力を知る重要さを指摘した名言が『孫子』には存在します。

彼を知り己を知れば百戦して殆うからず

――彼を知り、己を知るならば、絶対に敗れる気遣いはない

日本でも企業経営者が座右の銘としてよく上げる言葉で、お隣の中国でも最も好きな格言を質問するときに、最も多く帰ってくるのがこの言葉です。しかし、この言葉を文字通りに受け取ってしまうのは非常に危険です。

例えば、自分がひょんな拍子でプロの将棋棋士と将棋で勝負することになったとしましょう。相手のことを知り尽くし、自分の実力をより理解していれば「百戦して殆うからず」と言えるのでしょうか?そうではないと思います。むしろ、将棋について全くわからない人は完敗すると思います。

ここで述べられている「彼」は、「目の前の敵」ではなく「目先の敵を含む周辺のライバルすべて」という可能性なのです。孫子』はライバル多数を前提にして書かれているので、第三者の動きまで目配りしておかないと先々悲劇に遭いかねません。

ところが、「彼」を目の前に立ちはだかる敵だと狭く解釈したとしても、彼の何を知り、己の何を知ればいいのでしょうか?

この問題に対して、『孫子』では「五事七計(ごじしちけい)」という切り口を提示しています。詳細は割愛しますが、『孫子』では最終的に勝負の勝敗に関する判断の下し方について詳細に書かれています。

孫子』では、勝負の勝敗を決める判断材料として「七計」を挙げています(これについても詳細は割愛します)。「勝てる」と判断できるのは、それに挙げられている様々な条件の中で相手よりも優れているのが多いからだと主張されています。一方で、「負ける」と判断できるのは、相手よりも劣っているものが多いからということになります。そして、自分のほうが優れている条件が全くなければお話にならないと結論付けられています。

本章での重要なポイントは次の2つです。

  • 自分と相手を比較した時、それぞれの得意なことや苦手なこと、できることなどの特徴を徹底的に考えること
  • 相手と勝負をする際には、自分と相手を比較した時に、自分が相手よりも優れている要素や条件が劣っているものよりも多い場合に行うこと

自分と他人を比較するときや相手に対して勝負を仕掛ける時に重要なことは、2500年前の古典ですでにある程度の結論が出されていたのです。


情報を制するものは戦いを制す

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本章では、「 情報を制するものは戦いを制す」について詳細に解説していきます。本章が本記事で最も強調したいことになります。

孫子』には、情報の重要性が主張されている重要な一節があります。

明君賢将の動きにて人に勝ち、成功、衆に出づる所以のものは、先知なり

――明君賢将が、戦えば必ず敵を破って華々しい成功を収めるのは、相手に先んじて敵情を探り出すからだ。

このように考えると、情報収集には手間暇やお金を惜しみなくつぎ込む必要がある。

相守ること数年、以って一日の勝を争う。而るに爵祿百金を愛みて敵の情を知らざる者は、不仁の至りなり。

――戦争は何年も続くが、最後の勝利はたった一日で決定する。それなのに、名誉・地位やお金を惜しんで敵の情報収集を怠るのは馬鹿げている。

特にこれについては、現代にも当てはまる至言とも言えるでしょう。たしかに、インターネットの出現で現在は情報の収集が簡単に行える時代になりました。しかし、本当に必要な情報や有益な情報は、手間やお金をかけないと手に入りません。

情報収集の重要性は現代社会でも重要視されていますが、この2500年以上前の古典でも似たようなことが主張されていました。


まとめ:自分の悩みや今の社会にある問題の中には、実は大昔の思想家が解決しているものが結構ある

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今回の記事では、名著『孫子』を私たち現代人にも理解できるようにわかりやすく解説してある名著『最高の戦略教科書 孫子』を要約しました。

本書は古典について全くのド素人である私たちにも『孫子』にかかれている内容の重要性をわかり易い言葉で徹底解説してありますので、おすすめの一冊になります。気になる方はぜひとも書店に足を運んで買ってみてください。

最後に個人的な補足を入れてこの記事を締めくくりたいと思います。それは、

「自分の悩みや今の社会にある問題の中には、実は大昔の思想家が解決しているものが結構ある」

ことです。

本書で取り上げられている『孫子』でもそうですが、私たちが普段抱えている悩みや現代社会で問題とされている物事の中には、大昔の思想家が何十年も試行錯誤をして生み出した自分の思想で解決しているものがあります。私は、本書を通してそのことを痛感しました。

本書をきっかけに、巷に出回っている稼ぐ方法や健康になるメソッドなどの具体的なテクニックを学ぶ本だけではなく、このような抽象度の高い本を買って先人からの知恵を学ぶ機会をたくさん作ってみようと思いました。

長くなりましたが、今回の記事はこれで以上です。

【参考図書】