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【毎週日曜更新】本の要約・考察第47回~『プロセスエコノミー』~


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今回の記事では、SNS上で数多くの著名人が取り上げている名著『プロセスエコノミー』についてざっくり解説します。


本書の要旨

本書の要旨を簡潔にまとめると、以下のようになります。


  • 良いものをつくるだけではモノが売れない時代に突入した。完成形だけで差別化を図るのは非常に難しい

  • 人もモノも埋もれる時代の新しい稼ぎ方―「プロセス」で稼ぐこと。プロセスはコピーできないから。

  • 品質で差別化できないなら、マーケティングや流通、ブランディングにお金をかけられる方が強くなる。格差の拡大。

  • プロセスに価値を乗せるためには、造り手がそこにストーリーを込めたり、なぜやるか(Why)の哲学を示すことが非常に大事。さらに作り手単独では限界があるので、ユーザをファンにしてセカンドクリエイターとして巻き込んで熱量を上げていく必要がある。

  • ファンがコミュニティになっていけば、ファン一人一人が新しい物語を生み出し、さらに熱量も上がり、新しい人を引きつける。そしてその決あ、多様な物語が生まれ、さらに新しい人を引きつける。そしてその結果、多様な物語が生まれ、さらに新しい人を引きつける...。仕組みとして価値が貯まるので、他の企業やサービスと埋めようのない探し台に生まれてくる。


なぜプロセスに価値があるのか

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どうしてアウトプットと同じようにプロセスに価値が出てくるのでしょうか?

現在は多種多様な情報がネットでものすごい勢いでシェアされていて、商品の質だけでは差別化するのは難しい時代です。そのため、今の消費者は「役に立つ」ものよりも「意味のある」ものにより価値を感じるようになりました。

数多くものが存在する中で、「プロセス」で稼ぐことが今後の新しい稼ぎ方になります。なぜなら、プロセスはコピーできないからです。

プロセスエコノミーの重要性

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プロセスエコノミーの実践方法を解説する前に、プロセスエコノミーの重要性を詳細に解説します。

まずはプロセスエコノミーの理屈を単に理解するのではなく、感覚としてプロセスエコノミーを捉えていきましょう。

誰だって長年かけて染み付いた価値観をなかなか拭えません。「プロセスで稼ぐなんて邪道」「プロセスを他人に見せるなんておかしい」という反発にあうこともあります。これには日本の学校教育が大きく関係しています。

本の学校教育は、たった一つの正解に向かって突き進む正解主義にとらわれています。しかし、「これが正解だ」と定義した所で、変化が激しい時代ではその定義自体が変化することもありえます。ならば、修正することを前提にしたほうがいいです。正解を出すことにとらわれずに、β版でもいいからとりあえず出して、数多くの人からフィードバックを受けながら柔軟に修正すればいいです。

途中で方針を変更することを前提とした修正主義こそが、決められた正解のない時代の生き方です。

プロセスエコノミーの実践方法

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次に、プロセスエコノミーの実践方法について説明します。

ただ単に商品の制作プロセスをオープンにするだけでは、なかなか人は魅力を感じてくれません。プロセスエコノミーを実践するうえで最も大事なことは、あなたの中にある「Why」(理由)を共有することです。

例えば、誰もが「インフルエンサーになりたい」とYouTubeInstagramで発信を継続する中、もはや平凡なインフルエンサーは生き残れません。たとえ一時的にフォロワーやチャンネル登録者数が増えても、他の人気者が登場した瞬間たちまち淘汰されていきます。インフルエンサー市場は倍率が非常に高い競争です。そのため、既存のインフルエンサーも一夜にして無価値化してしまう可能性があります。

何千万人がTwitter等のSNSで発信する中、「What」(発信内容)だけでは差別化できません。「What」だけで勝負をする時、YouTubeで言えば中田敦彦さんやマコなり社長などのような知名度の高いプレイヤーとコンテンツの面白さで勝負しなければなりません。これはまだ実績もアウトプットもない私たちにとっては非常に無謀な挑戦だと言えるでしょう。

そのような状態でファンを獲得するには、「What」一本だけで勝負しないほうが賢明です。最も大事なことは、なぜやるかという「Why」の共有です。

プロセスエコノミーの弊害

しかし、本書で挙げられている「プロセスエコノミー」には弊害があります。簡単に言えば、プロセスだけで稼げてしまうと本来の「Why(なぜやるのか・こだわり・哲学)」を逆に見失ってしまうというケースがあります。

例えば、注目を集めるのがとにかく上手な人がプロセスを上手に開示することで実力以上に資金やファンを集めてしまう。すると、どんどんプロセスの刺激を増やしていかないと次第に続かなくなってしまいます。そうすると、より大きなチャレンジを掲げるしかありません。

もちろん、まだ実績がない人が挑戦をする際に、その様子を発信して応援してくれる人を増やしたり、資金を集めたりすることは問題ありません。Twitter等のSNSのフォロワー数や注目が多いと、明らかに集客や資金調達や採用の面で有利なのも事実です。

しかし、「大きなビジョンや夢だけを語り続ける」状態が続くと取り返しのつかないことになります。

実例

実例として、登山家の栗城史多(くりきのぶかず)さんが挙げられます。彼はポーターを雇わず一人きりで行動し、酸素ボンベを携帯せずに単独で登山を行うのが売りの登山家でした。彼は自分の登山スタイルをネット中継で積極的に公開し、数多くのファンを獲得しました。

しかし、彼はエベレスト登山の最中に凍傷で9本の指を失ってしまい、最終的には雪山で遭難して死亡するという悲劇的な最期を遂げました。自己演出に拍車がかかりすぎた結果、ほとんど自殺に等しいような非業の最期を遂げました。

実例からわかること

先程は栗城さんの実例を述べました。周りの人から注目を集める中、外から求められる無謀なチャレンジを継続しなければいけないというプレッシャーに押しつぶされ、そのプロセスが過激化することがあります。その結果、プロセスそのものに自分の人生がコントロールされることになってしまいます。

自分の意志で能動的に行きてきたはずなのに、プロセスエコノミーの中で観客の期待に応えることこそが目的になってしまう。いつの間にか観客が主体になって自分の人生のハンドルを握られた状態に陥ってしまう。

このような状態になってしまうと、自分の行動が他者の目で縛られてしまいます。

具体的なアクションプラン

栗城さんのような悲劇をくり返さないように、私たちにできることは次の2つです。

  • 自分の「Why」(なぜそれをやるのか)に立ち返る
  • 自分のものさし(価値観)を明確にする

プロセスエコノミーにおいては、他者に自分の人生をコントロールされることが最も恐ろしい弊害になります。自分は何のためにやっているのか、自分の一番大事にしたいものは何なのかを自問自答し、振り返り続けることは非常に大事です。

まとめ:SNSを捨てろ

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今回の記事では、SNS時代の必読書『プロセスエコノミー』について軽く解説しました。本書を一言でまとめると、「今の時代はWhyを共有してプロセスで稼ぐ時代である」ということになります。

最後に個人的な補足を入れて今回の記事を締めくくります。それは、「SNSを捨てろ」です。

これを簡単に言えば、SNS単体でプロセスエコノミーを駆使していくのは非常に難しいことを意味します。今の時代は誰もがSNSで情報を発信できます。数千万以上もある競合の中でコンテンツの面白さを競い合って自分をフォローさせるのは非常に困難です。

そのためには、まず「SNSだけでプロセスを駆使して戦わないこと」が非常に重要です。とは言っても何もしないというわけではありません。せめてライティング等の自己表現の練習に使いましょう。

実績もアウトプットもない私たちが最初にやるべきことは、次の2つしかないと思っています。

  • 身近な人(生活で最も関わることが多い人)にアプローチ
  • アウトプットを積み上げる

私はGitHubやブログ、noteで情報発信していてアウトプットはあります。これからもアウトプットを継続していこうと思います。そして、あるアウトプットが注目されるようになればプロセスを駆使して影響力を高めていこうと思います。

今回の記事はこれで終了です。

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