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【毎週日曜更新】本の要約・考察第27回~『ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代』~


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おはようございます。Shotaです。

今日は日曜日なので、本の要約・考察記事を書いていきます。

今日取り上げる本は『ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代』です。

著者のアダム:クラントは、10年以上にも渡り様々な企業の「オリジナリティの研究」を行ってきた気鋭の組織心理学者です。彼は、不安な人間と社会の本質を次々と明確にしてくれます。

本書で強調されている「オリジナル」な人とは、斬新なアイデアを思いつくクリエイティブな人というわけではありません。率先してアイデアを実行し、実現していく人のことを指します。

本書には、本当に斬新なアイデアを見分ける方法や、アイデアを的確に発信し、支持を得る方法など、オリジナルな目標を現実のものにするためのヒントが宝箱のように詰まっています。それを裏付ける事例も実に多彩です。

それだけではなく、不安をコントロールする方法や、自分の怒りをもっと別のエネルギーに変換する方法、弱点の中に強みを見つける方法、立ちはだかる障害を乗り越える方法、周りの人に希望を広げていく方法というような、実に実践的なガイドラインが満載です。

オリジナリティを目指す人は、必ずと言っていいほど逆風に遭います。ところが、世界をよりよいものに変えていくエネルギーと、その秘訣を本書から体得しておけばどのような荒波もしなやかに乗りこなせるのではないかと考えます。

今回の記事ではその秘訣を全部紹介することはできないので、特に重要だと感じたポイントを3つに絞って徹底解説していきます。

それでは早速、本題に入りましょう。



ポイント1:「最初の一歩」をどのようにして考える?

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随分昔の心理学研究になりますが、業績の達成には「コンフォーミティ」(同調性)と「オリジナリティ」(独自性・独創性)という二種類の方法があることが分かっています。

コンフォーミティとは、多数派に倣って従来の方法を踏襲し現状を維持することです。一方で、オリジナリティとは未開発の方法を取り、流れに逆らう新しいアイデアを推し進めつつ、最終的によりよい方法を生み出すことです。

もちろん、完全にオリジナルなものはこの世の中に存在しません。ある意味、どのようなアイデアも私たちを取り巻く世界で学習したことが何らかの影響を与えているものです。私たちは意図せずに、常に誰かの考えを拝借しています。それだけではなく、他者のアイデアを自らが考えついたものと勘違いしてしまうのです。

著者が主張する「オリジナリティ」とは、ある特定の分野において、その分野の改善に役立つアイデアを導入し発展させることを意味します。オリジナリティそのものは、創造性から始まります。まず何より、斬新で実用的なコンセプトを考え出すことです。しかし、それだけでは終わりません。

オリジナルな人とは、「自らのビジョンを率先して実現させていく人」のことを指します。


「オリジナルな人」とは

オリジナルな人間になるためには、極端なリスクを犯さなければならないという認識は文化的にあまり深く根付いていて、多くの人は疑問を持つことすらしません。人々は世界的に有名な大企業であるMicrosoft社を設立したビル・ゲイツ氏のようなカリスマを、大胆にも大学を中退し、一か八かの賭けに出て、ガレージでコツコツ作業をしながらビジョンを実現させようとした人だと崇めます。

私たちは、創造性を発揮して世界を変えようとするオリジナルな人達を見て感心しつつも、彼らは私たちとは異なる才能を持った人たちなのだろうと考えてしまいます。彼らは不安に強く、社会に受け入れられなくても平気だとついつい思っています。

しかしながら、本書ではオリジナリティには徹底的にリスクを犯すことが必要だという通説を覆し、オリジナルな人たちは私たちが思うよりずっと普通の人たちなのだということが示されています。分野を問わず、ユニークなアイデアで世界を前進させる人たちが、信念ややる気にあふれていることはまれです。現状を打開しようとする人たちは、外見的には大胆で自信満々に見えるかもしれません。しかし、その表面を剥がしてみると、彼らも恐れやためらいや自己不信と戦っているのです。


本当のリスクは何なのか

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リスクの取り方

ミシガン大学のとある心理学者の研究によると、リスクの高い株式投資をしようとする人は、その他の投資では安全策を選んで身を守ろうとするというリスクに関する革新的な理論があります。日常生活においても、成功を収めている人はこれと同じようにリスクに対処し、ポートフォリオ(金融商品の組み合わせ)の中でバランスを取っているという説を彼は提唱しました。

私たちはある分野で危険な行動をするなら、別の分野では慎重に行動することによって全体的なリスクのレベルを下げようとする傾向が強いです。リスクのポートフォリオという概念を考えると、人生のある部分でオリジナルな行動を取りながら、その他の部分では標準的な粋を出ない人が多いというのも納得できます。

「リスクポートフォリオのバランスを取る」というのは、常に中程度のリスクを犯して中間にとどまるということではありません。成功を収めるオリジナルな人は、ある部分で大きなリスクを犯しつつ、別の部分ではことさら慎重になることでバランスを取っているのです。


起業家を対象とした実験

起業家は一般の人よりもリスクを好んでいるわけではないという研究結果が相次いで出てきています。

800人以上のアメリカ人を調査したある有名な企業では、起業家と働く成人を対象にやってみてもいいベンチャー事業でを選んでもらいました。起業家は、最も成功率の高いベンチャー事業を選ぶ確率が一般の人よりも明らかに高いことが明らかにされました。起業家は他の一般的な人たちと比較して、かなりリスク回避型であることを研究者たちは結論づけています。

経済学者たちの研究によると、優秀な起業家は10代の頃に規則を破って違法な行為をする確率が他の人よりも三倍近くも高いことが明らかにされています。

オリジナルな行動を取るには新しいことを試す必要がありますが、それはつまり、ある程度のリスクを受け入れることを意味します。ところが、最も成功を収めている人は向こう見ずに飛び込むような人ではありません。崖の縁までおっかなびっくり歩いていき、降下の速度を計算し、パラシュートは点検に点検を重ね、年のために安全網を設置しておく人のことを指します。


ポイント2: キラリと光るアイデアとは

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私たちは世界にオリジナリティが書けていることを心配し、それは人々に創造性が書けているからだと考えています。新しいアイデアを出すことさえできれば万事うまく行くと思っているのです。

ところが、実際はオリジナリティを阻む最大の障害はアイデアの「創出」ではなくアイデアの「選定」です。

ある分析調査では、200人以上の被験者が100件以上の新しい企画他製品のアイデアを考えたところ、うち87%が他に類を見ない独特なものでした。だから、必ずしも企業やコミュニティに斬新なアイデアが不足しているというわけではありません。むしろ、斬新なアイデアの中から、適切なものを選び出す人がいないのが問題です。

本章では、アイデアの「選定」を行う際に必要なことが的確に述べられています。


できるだけたくさんのアイデアを出せ

このタイトルだけ言われても、「何を言っているのかわからない...」と考える人もいるでしょう。本記事を読んでいる人の中には、「斬新なアイデアを生み出すための方法がわからない...」と悩んでいる人も少なくないかもしれません。

創作者が自分のアイデアを適切に評価できないとき、傑作を生み出す可能性を高めるためにはどうすればいいのでしょうか?

それはズバリ、「多くのアイデアを生み出すこと」です。サイモントンの研究によると、ある分野における天才的な創作者は、同じ分野に取り組む他の人達よりも、特に創作の質が優れているわけではありません。しかし、大量に創作すると、多様な作品が生まれてオリジナリティの高いものができる確率が高くなるのです。多くの人が斬新なものに到達できないのは、アイデアをちょっとしか出しておらず、その少数のアイデアを完璧に磨き上げることにとらわれているからです。

斬新なアイデアを生み出すためには、まず何でもいいので数多くのアイデアを出してみましょう。


ポイント3:チャンスを最大化するタイミング

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大抵の場合、大切な仕事は期限のずっと前までに終わらせるようにしておくように言われます。製品の開発や企業においても、真っ先に行動を起こすように進められます。

もちろん、早いことには明らかなメリットがあります。手を付けたことを確実に遂行し、競合他社よりも先に新たに市場に参入できるメリットがあるからです。

ところが、意外なことにオリジナルな人たちを研究していくと、スピーディーに行動を起こして一番乗りになると、利益よりも不利益のほうが大きい場合も多々あるということが分かってきました。本章のテーマは「行動を取るべき時期」です。

本章では、「タイミング」について一般的に考えられている通年が覆されています。


良いアイデアは「放置」から育つ

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本書では、学生を対象にコンビニの跡地でできる新規事業の提案書を作る際に、「先延ばし」にすることが斬新なアイデアをもたらすかどうかを調べる実験が行われていました。真っ先に取り組む学生と、先延ばして取り組む学生に分類して、後者には提案書の作成をあえて先延ばしにしてもらい、そのあいだに「フリーセル」のようなコンピュータゲームをしてもらいました。結果、先延ばしにした学生の提案書は、そうではない学生よりも38%創造性が高いと評価されたのです。

ここからわかることは、先延ばしにする人はより多くの時間を思考に費やしているので創造性が高いのではないかと考える人もいるでしょう。ただし、先延ばしが必ずしも創造性の起爆剤になるわけではありませんでした。

つまり、もともと大きな問題を解決する意欲を持たない人は、先延ばしをしても問題解決が遅れるだけでした。一方で、新しいアイデアを生み出すことに情熱がある従業員は、先延ばしにすることこそが創造性のきっかけになっていたのです。

本書によると、先延ばしは「生産性の敵」かもしれませんが、「創造性の源」にはなるようです。


問題解決力が高い人ほど、実践していること

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先延ばしをするという行為は、クリエイティブ能力が高い人や問題解決に秀でている人によく見られる習慣のようです。また、先延ばしはクリエイティブな仕事には特に有益であることが研究で明らかになりました。

1927年、ソ連の心理学者ブルーマ・ツァイガルニクは、人間は達成した課題よりも達成できなかった課題の方をよく覚えているという理論(ツァイガルニク効果)を証明しました。課題が完了すると、それについてもう考えることはなくなりますが、中断されたり、未完であったりすると頭のどこかで生き続けます。

このツァイガルニク効果を利用すれば、まだ終わっていないタスクや課題を頭の隅に置いといて、それについて思考を深めていくうちに創造性の高いアイデアが浮かぶかもしれません。


「若き天才」と「経験豊富なエキスパート」

オリジナリティは若さゆえに湧き出るものと一般的に言われています。言い換えれば、年令を重ねるごとにつれてオリジナリティが弱まっていくものだと考えられているのです。

ところが、このような衰退は避けられないものではありません。企業が社内に提案箱を設置すると、年配の従業員は若い従業員よりもアイデアをたくさん出したり、質の高い案を出したりする傾向が見られ、最も良い提案は55際以上の従業員から出されたことが明らかにされています。

芸術や科学の分野といえば思いつくのが早咲きの若き天才ですが、大器晩成の老練も大勢いるということを、シカゴ大学のある経済学教授は示しています。


「早咲きの人」と「遅咲きの人」が両方ともいる理由

どうして、遅咲きの人と早咲きの人が両方ともいるでしょうか?

オリジナリティがピークに達する時期とその持続時間は、個人の思考スタイルに関係しています。本書では、イノベーションは根本的に異なる2つのスタイルに大別されています。

「概念的イノベーション

大胆なアイデアを思い描いてそれを実行に移す。

「実験的イノベーション

試行錯誤を繰り返して問題解決を行いながら学んでいき、進化を遂げていく。


ノーベル賞受賞歴を持つ物理学者をひとりひとり調べた研究では、30歳未満の若き天才のうちちょうど半数が、理論的研究を行った概念的イノベーターでした。一方で、45歳以上の老練のうち、92%は実験的研究を行っていました。

このように、概念的イノベーターと実験的イノベータの根本的な違いを明確にすると、独創的な人の中には早咲きの人もいれば遅咲きの人もいる理由がわかります。

もっと簡単な具体例を使って述べると、概念的イノベーターは短距離走者で、実験的イノベーターはマラソン走者です。


まとめ:「人と違うこと」をするために最初にやることは、常識を捨てること

非常に長くなりましたが、最後にまとめに入ります。

今日の記事では、『ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代』を要約・解説しました。

最後に個人的な補足を入れて、今回の記事を締めくくります。

今回の記事で紹介した書籍は、いわゆる「人と違うことをする方法」について詳細に書かれていました。人と違うことをするためにまず最初にやるべきことは、世間や自分の中にある「常識」を捨てることです。これができなければ、人と違うことは到底できないと考えています。

世間で言われている「〇〇したほうがいい」とか、「〇〇のほうが無難」「〇〇するべき」という常識をゼロベースで考えてみてください。そして、それらの常識に対する自分の意見と照らし合わせてみると、常識と自分の意見のズレに気付くことがあるかもしれません。

「この常識は自分にとって違和感があるな」と少しでも感じたら、その常識を一旦捨ててみましょう。そうすることで、常識から開放され人と違う視点を持てるようになると思います。

長くなりましたが、今回の記事はこれで終了です。

【参考図書】