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【毎週日曜更新】本の要約・考察第21回 ~『GIVE&TAKE』~


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おはようございます。Shotaです。

今日は日曜日なので、本の要約・考察記事を書いていきます。

今日紹介する本は『GIVE&TAKE』です。

本書の著者であるアダム・グラントは優れた研究者です。本書で展開されている議論はどこをとっても行動科学の理論と実証研究に裏付けられています。そのため、本書は個人的な経験や思いつきだけで書かれている数多の自己啓発書とは一線を画しています。

著者の議論の根底にあるのは人間の思考と行動を、次の3つの類型に分けたものです。

  • ギバー(与える人)
  • イカー(受け取る人)
  • マッチャー(バランスを取る人)


これは一見シンプルのように見えますが、これが本当に面白いです。

本書は大学教授なので、アカデミックの分野にいます。そのような学者が書く本といえば、簡単な話をわざわざ小難しい概念や言い回しをこね回して意味もなく難しくしてしまうものがたくさんあります。しかし、本書はそれの例外です。本書の内容は学術的な研究がベースとは言っても、非常にわかりやすいです。

本書の読みやすさと説得力は、定量的なデータ分析に基づいた発見事実だけではなく、現実性のある「ビジネス現場の事例」が豊富に出てくることによるのが多いです。

本書の面白さはこの前置きだけでは十分に語りきることができませんので、本題には言って詳細に解説していきます。今日の記事で話すポイントは次の通りです。

  • ギバーこそ、幸せな成功者
  • イカーを見抜く方法
  • 注意点:「いい人」だけでは成功できない


それでは早速、本題に入っていきましょう!



「与える人(ギバー)」こそ、幸せな成功者

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ギバーとテイカーの違い

まず最初に、ギバーとテイカーの違いを明確に話していきます。

イカーは、常に与えるよりも多くを受け取ろうとする人間のことです。ギブ・アンド・テイクの関係を自分自身が有利になるように持っていき、相手の必要性よりも自分の利益を優先する傾向が強いです。本書で述べられているテイカーの特徴は主に以下のようなものがあります。

  • 自分の能力を証明するために自分を売り込む
  • 費やした努力をきちんと認めさせる


一方で、ギバーはギブ・アンド・テイクの関係を相手の利益になるように持っていき、受け取る以上に与えようとする人間のことを指します。ギバーとテイカーは仕事において完全に区別することはできません。それよりも、ギバーとテイカーでは他人に対する態度と行動が違っているのです。

イカーは自分中心に考えるのに対し、ギバーは他人を中心に考え、相手が何を求めているかに注意を払っています。イカーなら、得られる利益が損失を上回る場合に限って相手の有利になるように注意を払います。一方で、ギバーならいつ何時も、損失よりも「相手」の利益のほうが上回るように手を差し伸べます。つまり、ギバーは自分が払う犠牲を気にしないで、見返りを一切期待せずに相手を助けるということになります。


マッチャーとは

前述で「ギバー」と「テイカー」のそれぞれの特徴や違いについて説明しました。ところが、実際の職場ではギブ・アンド・テイクはもっと複雑なものになります。仕事においては、ギバー家庭カーか明確に分かれることはなく、大抵の人が第三のタイプになります。それが、与えることと受け取ることのバランスを取る「マッチャー」と呼ばれる人のことです。


最も成功できるタイプは一体どれ?

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相互関係には、基本的にギバー、テイカー、マッチャーの三タイプがあります。しかし、この三タイプの線引は明確なものではありません。人は自分の役割や相手との関係に応じてこの三タイプを使い分けるためです。実際に、三タイプのどれかによって、成功の可能性がはっきり違います。それでは、最も成功できそうにないのは誰であると考えますか?

調査によれば、成功から最もかけ離れている場所にほとんどのギバーがいます。それは、自分の成功を犠牲にしてまで相手の利益を優先しているからです。本書に記されている販売員を対象とした研究では、イカーとマッチャーは年間売上がギバーの2.5倍であることが明かされていました。

ギバーはとても思いやりがあり、人を決して疑わず相手の利益のためなら自分の利益を犠牲にすることもいとわないのがギバーです。これだけ聞くと、一見成功から遠いのはギバーのように感じられます。それでは、成功を収めるのはテイカー、あるいはマッチャーなのでしょうか?

実は、そのどちらでもありません。

調査によると、成功を収めるのもギバーであることが明かされていました。

先程の販売員の研究でも、一番売上の低い販売員は平均的な販売員よりもギバーを示す得点が25%高いですが、最も売上の多い販売員もギバーで、テイカーやマッチャーよりも平均50%も年収が多かったことが明かされていました。

このように、ギバーは成功への階段の一番下だけではなく一番上も占めているのです。ギバーは「愚かなお人好し」だけではなく、「最高かつ最強の勝ち組」にもなれることがアカデミックな研究で明かされました。


「テイカー」を見抜く方法

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人間関係・ネットワーク

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イカーはいわゆる「仮面をかぶったペテン師」

イカーが接近してくるのがわかると、人間は心のドアを閉ざして交流を断り、協力も信頼もしないことで自己防衛します。このようにされないため、イカーは化けの皮をかぶって寛大に振る舞い、ギバーやマッチャーのフリをして相手のネットワークの中にそのまま入ろうとしていきます。とは言っても、テイカーが誰に対してもこの見せかけの顔を保つのは難しいです。

職場の人間関係で例えると、テイカーは部下に対して支配的になる一方で、上司に対しては驚くほど従順で丁寧な態度を取ります。有力者と接する時、テイカーはまさにペテン師となります。相手に気に入られようとせっせとおべっかを使うので、有力者はテイカーに好印象を持ちます。とあるドイツの心理学者によると、初対面で一番好感を持たれるのは「権利意識が強く、人を操作したり利用したりする傾向のある人」だといわれています。

要は、イカーは目上の人に対しては良い印象を与えようと必死になる一方で、目下の人に対してはどう思われていようと全く気にしません。


イカーのSNS

現在はインターネットの急速な発展により、SNSのユーザが急増して人間どうしで簡単なつながりを手に入れることができるようになりました。そうなると、テイカーが他人を騙してギバーのふりをし続けるのは難しくなっていきます。今やインターネットを使えば、公開情報にアクセスしたり、知らずに共有しているコネクションを追跡したりすることでお目当ての情報を手に入れることができます。SNSのプロフィールを見れば、テイカーの特徴がたくさん溢れています。

投稿する内容や写真などちょっとしたことがきっかけとなって、重大な手がかりが明らかになるのはザラにあります。本書で示されている調査によれば、大抵の人はFacebookのプロフィールを見ただけでテイカーかどうかを判別できるそうです。

本書による実験で、次のようなことが明かされていました。


  • イカーはナルシスティックな、実物以上によく見える自分の写真を投稿していた。

  • イカーが投稿している情報は、押し付けがましく自己中心的でもったいぶっている印象がある。

  • イカーはまた、Facebookの「友だち」がやたら多く、自分をよく見せるために上辺だけのコネクションを作って頼み事ができるように連絡を作っていた。


自分の人間関係と評判が世界に丸見えならば、テイカーとして継続的な成功を達成するのは難しくなるでしょう。


コミュニケーション

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言葉遣いでギバーかテイカーかどうかがわかる

ノースカロライナ大学のアリソン・フラゲイル教授によると、言葉遣いでギバーかテイカーがわかるそうです。イカーは強気な話し方をする傾向があり、独断的で率直である一方、ギバーはもっとゆるい話し方をする傾向があり、控えめな言葉を使って話します。

命令口調で話すよりも、質問や曖昧な発言を交えながら話したほうがより多くの人に受け入れられます。そうすることで、相手に譲歩する意思や、少なくとも相手の意見を尊重する意思を伝えることができます。

そうは言っても、強気な発言や命令口調、断定を多用する言葉遣いは「本当に優秀だ」とか「この人頭いい」と周りに誤解させられるので、その場限りの面接では非常に有効です。しかしながら、チームワークやサービスでそのような言葉遣いをすると、チームのメンバーや称賛を簡単に失ってしまいます。


注意点:「いい人」だけでは成功できない


成功するギバーと燃え尽きるギバー

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さて、成功するギバーと成功しないギバーの違いについて見ていきましょう。テイカーは自己の利益を他人の利益よりも追求する傾向が強いです。自分自身の成功を最大限にすることを目標とし、他人のことをあまり気にかけません。それに比べて、ギバーは常に他社の利益を優先して追求するものの、自分の利益追求に関しては個人差があります。ギバーには「自己犠牲タイプ」と「他者志向的」の二種類があります。

「自己犠牲タイプ」は自分自身のニーズを顧みずに、他者の利益に貢献するギバーのことです。そんなふうに人を助けることを続けてしまうと、自己犠牲のギバーは自分自身を傷つけてしまいます。

成功するギバーは「他者志向的」です。他者志向になることは、受け取るより多くを与えても、決して自分の利益を見失わないように「いつ、どのように、誰に与えるか」を決めることです。他者への関心に事故への関心がかなり結びつけば、ギバーは燃え尽きることなく成功しやすくなるのです。他人のことだけではなく、自分自身のことを思いやりながら他者志向的に与えれば、自分の健康を犠牲にすることはありません。

他者志向のギバーは自分も他人も大事にするので、成功しやすくなります。


まとめ:まずはテイカーにならないように行動

今日はアダム・グラントさんが書かれた『GIVE&TAKE』について解説しました。本書を簡潔に要約すると、「与える人、いわゆるギバーが成功する。ただし、自分も他人も両方大事にするギバーに限る」ということになります。

しかし、いきなり明日からギバーになろうとするのは難しいので、個人的にはまず「テイカー」にならないように行動することを強く勧めます。


アクションプラン①:SNSのプロフィール・発信内容を見直す

まずはSNSのプロフィール・発信内容を見直しましょう。

Twitterであれば、プロフィールの画像は控えめにし、発信内容も自己中心的なものではなく「他人のためになるもの」や「他人にとって学びになるもの」を中心にしたものにしていきましょう。言い換えれば、あまり自分を大きく見せないようにすることが大事です。


アクションプラン②:積極的に質問する

次に「質問力」を身に付けましょう。本書の調査では、知識のある同僚にしょっちゅうアドバイスを求めている人は、全く求めない人よりも上司の受けが良いことが明らかにされています。そのためには、「わからないことを素直にわからないと認めて、積極的に質問する」ことが非常に大事です。

本書から読み取ったアクションプランをまとめると、以下のようにまとめられます。

  • SNSのプロフィール・発信内容を見直す
  • 積極的に質問する


長くなりましたが、今日の記事はこれで終了です。

【参考図書】